「デジタル時代の基礎知識 『PR思考』―人やメディアが「伝えたくなる」新しいルール」著者 / 伊澤 佑美(いざわ ゆみ)
2003年、電通パブリックリレーションズ入社。メディアリレーションズを基軸としたPRプランニングに従事したのち、自社メディアの編集長を6年務め、現在はライター・編集者としても活動。外部メディアでの連載・寄稿なども手がける。Public Relationsをテーマに、日本PR協会や企業、大学や地方自治体で講義。共著に「自治体PR戦略」(時事通信社/2016年12月)。
Dentsu PR Galleryは、みなさんの“電通PRへのギモン”にこたえる内容をお伝えしていきます。
皆さんこんにちは、人事のタカスです。
3月に解禁となった就職活動、それぞれエントリーシートや面接対策で頭を悩ませている真っ最中かと思います。
特に「自分ってどうやってPRすればいいのだろう…」
今回はそんな皆さんに少しでもお役立てできるお話をお送りします!
PR業界を目指す人だけでなく、あらゆる業界でも役立つ考えになると思います。
今回は2018年3月15日に発売された「デジタル時代の基礎知識 『PR思考』―人やメディアが「伝えたくなる」新しいルール」の共同著者で、当社社員のイザワさんに、「PR思考」を就活に役立てる方法について聞いていきます!
PRというと、学生の皆さんになじみがあるのは「自己PR」という言葉かと思います。でも、実際、PRってどういうことか理解している人はあまり多くないのかなという印象です。
この新卒サイトのトップ画面にも「PRの概念はわたしたちのシゴトがつくる」とあります。これは、まさにPRが負っている業務領域の広さを言い表していますよね。PRって「決まり手」がない。つまり、目的を達成するためには何をやってもいいんです。逆に決まった答えがないので、確かに理解するのが難しいかもしれませんね。
一応、教科書的に言うと、PRは「Public Relations」の略称。直訳すると「公共との関係」となります。簡単に言うなら「世の中との良い関係づくり」ですかね。
一般的に「PR」=「アピール」「わたしを見て!」というイメージが強いと思いますが、ちょっとニュアンスが違うんですね。
PRを理解する上で大切なのは、常に“相手”を意識することです。
皆さんも、誰かと仲良くなりたいと思ったとき、相手と共通の趣味やテーマを探して、できるだけそれを話題にして話しかけようとしませんか? 「わたしは…」「わたしは…」と、自分のこと“だけ”を持ちだして話しかけても、会話って成立しないし、盛り上がらないですよね。ひいては、仲良くなれない。
しかも、同じ話題で話しかけるとしても、相手によって無意識にアプローチ方法を変えているはずです。つまり、そうやって、相手の“反応”を考えながらコミュニケーションの方法をあれこれ組み立て、関係をつくっていくこと、それが「PR」的な思考です。
PRという思考は、自分本位では成立しないわけですね。ここ、結構誤解されがちですが、とっても大事ですね。
PRについて話し出すと、それだけで長くなってしまいそうなので、続きは、このサイト内の「What’s PR?」(http://dentsu-pr-recruit.jp/pr/)を読んでいただくと、参考になるかと思います。大事なのは「自分と相手とをセットで考える」ということです!
学生の皆さんの目下の悩みのタネ、就活に向き合っていきましょう。
PRは「自分と相手をセットに考える」という話をしましたが、まさに就活も同じ。自分と、就職志望先をセットで考え、その結果、「いい関係」につながるのがベストですよね。そんなとき、お役立てできるメソッドがあるんです!
詳しくは書籍「PR思考」にて!
こ、これがうわさの…“エクリプスモデル”!
うーん、どうかな。うわさになっているといいけど(笑)。これは、私たちが、書籍『PR思考』の中で提示している、オリジナルメソッドです。PR的な思考をアイデアとして具現化する時に、こう考えてみると、すごく“しっくり”したんで、ちょっとだけここでもご紹介しますね。
「エクリプスモデル」の名は、「私=主体者(企業や商品・サービス、ブランド)」と「世の中(コミュニティ・属性)」の関係を深めることで、2つが“皆既食”のように“合致する”ことを目指していて、日食・月食を意味する“eclipse”に由来しています。商品、ブランドが持つ要素を「自負」と「自虐」に分類し、それぞれの項目と世の中の「関心」「問題」と関連づけ、PRのプランニングをする上で必要なコアアイデアを導き出します。
1枚にまとめるとこんな感じ。詳しくはこちらからhttp://www.dentsu-pr.co.jp/releasestopics/news_releases/20180308.html
あ、なるほど、だからイザワさん、今日、太陽と月の柄のTシャツ着てるんですね!
まさに! ツッコんでくれて、ありがとう。じゃないと、さすがに普段このTシャツは会社には着て来ないかな。あはは…。
でも、なんだか「エクリプスモデル」、就活にも役立ちそうですね。自分の「強み(自負)」「弱み(自虐)」と、志望先の「関心(求める人材)」「問題(打破すべき課題)」をマッチングするところは何か、を考えると非常にわかりやすい。
新卒採用の面接官って、このマッチングを見極めることがミッションです。だから、学生側も、志望先の「関心」と「問題」は何なのか、事前に把握し、分析しておくことはとても大切。相手の「関心」と「問題」に対して、自分の「強み(自負)」「弱み(自虐)」がどう生きるのか、きちんと面接で伝えることができたら、面接官に魅力的に映りますよね。これって、ごく当たり前のことだけど、「自分のここがスゴイ」「御社のここがステキ」のどちらかだけしか伝えてない人って、意外といるんですよね。
「自分と相手がセット」の考え方ですね。これは当社のようなPR業界に限らず、どんな業界でも同じ考え方で臨めますね。
あと、自分の「強み(自負)」「弱み(自虐)」の整理をするときに、絶対ダメなのが「つくり話」や「根拠のない話」をするってこと。自分を良く見せようと思うあまり、話を盛っちゃう人がいるんだけど、PRは「ファクト(事実)」ありき! 相手に納得し、信頼してもらうには、絶対に裏付けが必要。
「リーダーシップがあります!」「コミュニケーション能力があります!」と言った時に、その根拠となる実エピソードを具体的に話せることが必要ってことですよね。
わかっているものの、なかなか、他の人と差別化できるエピソードがないと悩んでいる学生は多い気がします。
そんな時は「PR IMPAKT」という視点でエピソードを再整理すると参考になるかもです。
詳しくはhttp://www.dentsu-pr.co.jp/pr/pr-impakt.html
「IMPA“C”T」ではなく「IMPA“K”T」なんですね!(誤植ではない)
「PR IMPAKT」は、ざっくりいうと、思わず「ツッコミ」たくなる、話をもっと「聞きたくなる」要素のまとめです。特に「I(逆説)」「M(最上級、初)」「K(キーワード)」あたりで話を整理すると、相手が「おおっ!」「なんで?」と、ツッコんで聞きたくなると思います。
例えば、「大学時代、体育会サッカー部に所属していました」という事実1つを話すにも、実は高校までは美術部一筋でインドア学生だったと、「逆説(I)」の事実から話すだけで、一気に「なんで、入ったの?!」と、ツッコミたくなりますよね。
なりますね~。まさに「なんで?」と、ツッコミかけました(笑)。
自分の「強み(自負)」「弱み(自虐)」エピソードを「IMPAKT」の視点で話すだけで、相手を引きつけやすくなると思います。ぜひ活用してもらえればと。
「エクリプスモデル」と「PR IMPAKT」。就活でもこの2つを使って、自己分析や業界・志望先分析したり、エントリーシートを整理すると、なんだか、いいマッチングにつながりそうですね。私も就活時代に知りたかったなあ、なんて。
あ、でも、最後に注意してほしいことがあります。
なんですか?
こうやって「エクリプスモデル」や「PR IMPAKT」の話をすると、エントリーシートや面接で、「御社のエクリプスモデルやPR IMPAKTに感銘を受けまして…」とかって、話してくれる学生さんがいるんです。
それはそれで、うれしい面もあるんですが、面接官のミッションとしては、そういうことが聞きたいわけじゃないです。こういったメソッドは、思いっきり活用すればいい。それで、自分の「強み(自負)」「弱み(自虐)」を明確にして、裏付けとなるエピソードで、面接官を納得させたり、驚かせたりしてほしいんです。それができる方は、PRパーソンに向いていると思います。
それで、お互いがマッチできる結果にたどり着いたら、最高ですね。ぜひ皆さん、メソッドは褒めるじゃなく、活用してみてください!