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PRのチカラで故郷に恩返しを

―「秋田犬がアイドル歌手…?!」インパクト大の話題の動画を 作ったのは、地元愛あふれる“チーム秋田”の仕業だった

地方創生が叫ばれる昨今、「地元の魅力を伝えたい」そう感じてPRに関心を持った方もいるのではないでしょうか。もちろん電通PRにも、そんな熱意をもって仕事に取り組む社員がいます。地元・秋田への観光客を増やすために、秋田出身者のチームで制作したのは、なんと秋田犬のアイドルが出演するミュージックビデオ!? 世界で話題をよんだ動画、「MOFU MOFU☆DOGS “Waiting4U~モフモフさせてあげる~”」の制作秘話や反響について聞いてみました。

Profile

【クライアント】

阿部 拓巳 (あべ たくみ)

一般社団法人秋田犬ツーリズム 専務理事(大館市観光課課長補佐)。秋田県大館市役所職員。
1965年、秋田県生まれ。地域づくりの観点を最大限に生かして行政運営に携わっている。昨年4月に地域連携DMOである一般社団法人秋田犬ツーリズムを設立し、専務理事に就任。

【全体統括】

越前 康 (えちぜん こう)

株式会社電通 ビジネスプロデュース局
1981年、秋田県生まれ。コンサルティング会社で海外事業立ち上げなどの業務経験を経て、電通入社。入社後は主に官公庁の事業を担当。地域の将来を支える名品とその市場開拓を支援する「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」を複数の民間企業とともに立ち上げ、運営するなど官・民が連携するビジネス創出に従事している。

【企画・制作】

クドウ ナオヤ

株式会社電通 デジタル・クリエーティブ・センター
1989年、秋田県生まれ。千葉大学工学部デザイン学科卒業。電通入社後、ダイレクトマーケティング、ビッグデータ領域のセクションを経て、現在CMプランナー、デジタルクリエーティブ領域を担当。Cannes Lions、Spikes Asia、New York Festivalsなどをはじめ、国内外の広告賞を多数受賞。中国の大学で客員講師もつとめる。映画が大好きだが、もっと詳しい人につっこまれて知識を振りかざされたりするのが怖いので公言していない。電通内のオンライン動画制作の専門チーム「鬼ムービー」のメンバー。

【PR企画・話題化】

根本 陽平 (ねもと ようへい)

株式会社電通パブリックリレーションズ 情報流通デザイン局 コミュニケーションデザイン部 部長。
1985年、秋田県生まれ。2008年電通パブリックリレーションズ入社、日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。企業や地方自治体のコーポレートブランディングのほか商品サービスのキャンペーンプランニングなども手掛ける。受賞歴に、グローバルSABREアワード、PR WEEK アワード・アジア2年連続受賞、WOMMYアワード日本事例初受賞など。メディア掲載は2014年、朝日新聞「ひと」など。電通内のオンライン動画制作の専門チーム「鬼ムービー」のメンバー。

動画「MOFU MOFU☆DOGS “Waiting4U〜モフモフさせてあげる〜”」概要

2016年11月1日、擬人化した秋田犬(あきたいぬ)アイドルグループ「MOFUMOFU☆DOGS」がデビューした。このアイドルたち、顔はモフモフの秋田犬で体は女性という強烈なインパクトのビジュアル。秋田犬発祥の地である秋田北部自慢のスポット・食・文化の魅力をノリノリの音楽にのせ、全編秋田犬の鳴き声で歌っている。さらには海外での話題化も図り、動画の字幕を日本語、中国語(繁体字)、英語の3カ国語で表示している。このかわいくて不思議な動画は、公開2週間で100万回再生を突破。国内外で話題となった。

関連サイト:https://visitakita.com/?fbclid=IwAR0Lutl7p2sxH92s533cpOaBJUrloBv35BelZ2i088dxABOxZP7An_xzdPY

いつかは地元に貢献したい。会社の垣根を越えた「チーム秋田」は、すぐに結成された

ー「チーム秋田」誕生の経緯をお聞かせください

 

秋田犬ツーリズム・阿部 拓巳氏(以下:阿部)

 

秋田県北部の4エリア(大館市、北秋田市、小坂町、上小阿仁村)が、日本でも海外でも、観光地として認知されていないことが課題でした。そこで秋田犬ツーリズムという地域連携DMO※を立ち上げ、訪日外国人の誘致を推進するためにPR動画の作成をしようということになりました。そんな時に、電通の越前さんが秋田出身ということなのでぜひ、と紹介されたのが始まりです。
※DMO(Destination Management Organization)・・・観光、物産、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。

 

 

 

電通・越前 康氏(以下:越前)

 

2015年11月に阿部さんと初めてお会いしました。私も秋田の出身者として、正直観光PRがまだまだだなというのは感じていましたので、お話をいただいて、本気で秋田を盛り上げる動画を作りたいなと思いました。そこで、社内で動画案件の実績を持ち、世の中を引き付けるクリエイティブ力のある、「鬼ムービー」というチームに注目しました。そのチーム内に秋田県出身のクドウさんと根本さんがいて、まさに2人と組むしかない!と思い、すぐに声を掛け、そこから話は急ピッチで進んでいきました。

 

 

 

 

電通・クドウナオヤ氏(以下:クドウ)

 

僕もかねがね何らかの形で地元に貢献したいという思いがあったので、越前さんからお話がきた時は「ついに来たか…!」と思いました。地元の家族にも見られるものだから、これは気合を入れて取り組まないといけないな、と。(笑)

 

 

 

電通PR・根本陽平氏(以下:根本)

 

僕はもともと地元を現地ではなく外側から盛り上げたいと思って、電通PRに入社しました。新入社員の時から秋田の仕事をしたいと思っていましたが、なかなか簡単にできるものではありませんでした。ですので、今回お話をいただいてとてもうれしかったです。

 

 


 

プロフェッショナルの本領発揮。世界で話題になる動画が生まれたポイントとは

ー企画はどのようにして進んでいきましたか?

 

 

クドウ

 

はじめに阿部さんから、「世界でも認知度の高い秋田犬をフックにしたい」と要望をいただいていました。そこで提案したのが2つ。まずは、ハチ公に代表されるような秋田犬の「待つ」特性を用いたほっこり動画。もうひとつは、今回制作に至った秋田犬アイドルのミュージックビデオです。 これまで世界で話題になった動画を見ると分かるのですが、やはりエッジを立たせることが重要なんです。そこで、いい意味で違和感のある形で秋田犬を表現したいと考えました。Webで話題の口の端に上りやすい、「擬人化」という手法を用い、秋田に興味のない方にも見てもらえるよう、世界で人気のある日本のアイドルコンテンツと掛け合わせました。顔は秋田犬、体は女性で、歌声も秋田犬のアイドル誕生です。チャレンジングな提案でしたが、プレゼンしているそばから「いいね!」と言っていただけました。ご理解のある方々で本当に良かったです。(笑)

 

阿部

 

秋田犬ツーリズムとしては、とても面白い企画なので、ぜひ実現させたいと思いました。これも巡り合わせかもしれませんね。

 

 

 

秋田犬8匹・20パターンの声の収録、地元のエキストラの方々の協力。まさに「チーム秋田」が一丸となって臨んだ撮影

ー撮影はどのように行われましたか?

 

 

クドウ

 

企画が通り、撮影に入りましたが、これも大変でしたね。実際に地元にいる秋田犬をキャスティングしての撮影だったので、犬に負担のかからない撮影方法や現場での扱い方にかなり試行錯誤しました。音声は8匹の秋田犬の協力のもと約20パターンの鳴き声を収録したのですが、秋田犬は本来そこまで吠える犬ではなく、吠えてくれるまで、こちら側がひたすら待ちの姿勢だったようです。(笑)

 

 

越前

 

あと、撮影では、エキストラとして地元の多くの方々に協力していただきましたね。でも、阿部さんの方で集めるのは大変だったのではないですか?

 

 

阿部

こちらでは、秋田を盛り上げる動画の撮影があるということで、Webや新聞などを使って地道にエキストラの募集を行いました。1日かかる撮影にもかかわらず、約250人もの方が集まってくれましたので大変ありがたかったです。協力いただいた方々とともに「チーム秋田」として、一丸となって撮影ができました。

 

 

 

完成した動画の反応は「…。」しかし、ここからがPRの腕の見せどころ!

ー制作した動画の反応はいかがでしたか?

 

 

越前

 

まず、市長が記者会見を行い、動画を発表したのですが、その場では記者がシーンとしてしまい…。動画のインパクトが凄すぎて咀嚼できなかったのかもしれません。(苦笑)

 

 

阿部

 

現地も、はじめはこれで盛り上がるかどうか、心配そうでしたね。(笑)

 

 

根本

 

だからこそ、ここからはPRの腕の見せどころです。動画を公開したうえで、どのように世の中に伝播させていくかを設計していきました。まずは、メディアにどのような見出しで取り上げられるのかを考えました。今回であれば「史上初の秋田犬アイドルが誕生!?」といった見出しになります。さらにはPRでの情報発信には“なぜ今なのか”という「タイミング」も重要。そこで秋田“犬”なので、犬の日でもある11月1日の、11時1分(ワンワンワン)に公開することで、ニュース価値を最大限高められるよう工夫しました。

 

 

越前

 

あと、今回の目的は訪日外国人の誘致を推進することなので、台湾メディアにもアプローチしましたね。

 

 

根本

 

そうですね。親日国でも知られる台湾では、「日本で流行している、話題になっているもの」が注目される傾向にあります。そこで台湾のPR会社とも協力し、この動画を台湾メディアが好む「日本で話題の動画」にするために、まずは日本で公開して話題になってから台湾に輸出する、という情報流通構造を設計しました。

 

周囲の不安を跳ね返し、公開2週間で100万回再生を突破!

ー公開後、反響はどうでしたか?

 

 

越前

 

流れが一気に変わったのは、再生回数が伸びてきたころですね。公開後2週間で100万回以上の再生回数を突破し、国内外含めて299件のメディアで取り上げられました。ツイッターでも「秋田に行ってみたい」というコメントが見られるようになったのです。

 

 

阿部

 

こちら(秋田)でも「あのモフモフね!」と話題になっていくと、だんだんと周りの理解が生まれてきました。結果としては、この動画をきっかけに台湾をはじめ香港やシンガポールから観光客が来てくれたのです。国の重要文化財となっている芝居小屋・康楽館の入館者数は前年の月平均20人から、116人へ大幅に増加。掲げていた、訪日外国人観光客の目標値もクリアして手ごたえを感じました。

 

始まったばかりの恩返し。チーム秋田が向かう次のステージとは

ー今回のプロジェクトを通じての感想をお聞かせください

 

 

阿部

 

このチームで取り組んで本当に良かったと思っています。異なる方面で活躍するプロフェッショナルと仕事をすることで、新たな発想が生まれました。0を1にする仕事でしたし、軋轢や障壁をみなさんの力で乗り越えることができました。実際の効果も徐々に出てきていて、地元の老舗料亭に、台湾から予約が入るようにもなりました!この調子で、次のステージとして内的な施策を進めています。訪日外国人観光客と指さしでコミュニケーションの取れるツールの制作や、おもてなしするためのワークショップなどを計画中です。

 

 

クドウ

 

少なからず地元に貢献できたのかなと思います。これって、秋田の中にいただけではできなかったと思うんです。電通に入社して世界を相手にするコミュニケーションを学んだ知見が生きたと思うので、貢献の仕方としては1つ成功したのかなと。普段制作している広告とはまた異なり、話題をつくっていく仕事だったので生活者の反応が目に見えたのがよかったです。台湾在住の知人もこの動画を知っていたのは嬉しかったですね。

 

 

 

 

 

 

 

越前

 

今回、動画を通して秋田という場所を知ってもらうことはクリアできたと思います。これからも、まだ伝えきれていない魅力を継続して発信していきたいですね。

 

 

根本

 

今回のプロジェクトを通じて、地元に少しでも貢献できたのであれば、本当にうれしいです。秋田を出てきてしまったことへ罪悪感のようなものがあったので…。今回はチームになって取り組めたのが醍醐味ですね。次のステージとしては、実際に秋田に興味を持って来てくれた人が秋田をどう評価してくれるのか、が大事になるのでそこを考えていきたい。愛する地元だからこそ継続して秋田を盛り上げていきたいです。

 

 


 

「秋田ってすごく楽しそうだな」と思って来てほしい

ー最後に、これだけは知ってほしい秋田の魅力とは?

 

 

阿部

 

土が良いと言われていることもあって、食べ物がおいしいですよ。

 

 

クドウ

 

実は高校生まで地元にいたころは、なにもなくて退屈なところだと思って東京に出てきました。でも、出てきて初めて食べ物のおいしさや魅力に気付かされましたね。大人になって日本酒が好きになったのですが、実家から10分のところに有名な酒造があったことも知らなかったんです。(笑)

 

 

越前

 

旅行するとき、交通の便に少なからず不安があって身構えてしまいますよね。でも、秋田に来るときは「すごく楽しそうだな」という気持ちを前面にもって来てもらいたいです。それを受け入れてくれるのが秋田だと思います。東京からだと距離がありますが、あえてそのことがいいことなのかもしれません。

 

 

根本

 

秋田は人が温かいと思います。実際に行った人に聞いても、そこで出会った人の優しさや温かさにふれて喜んでくれることが多いです。

 

 

 

・・・というわけで、

みんなで秋田さ来てけれ~~!

 


 

今回のプロジェクトの成功の裏には、もちろんそれぞれの分野のプロフェッショナルが集まったことは当然のことですが、加えて「地元への愛」が大きな原動力になったと言えるのではないでしょうか。電通PRの仕事は、自分の得意分野や親和性の高いものであれば、自分の仕事につなげていけるチャンスがあります。(もちろん、実績も必要です!)地元の魅力を伝えたいと思っているあなたにも、電通PRなら思いもよらない形で地元に貢献できるチャンスがあるかもしれません。

 

【インタビュー・執筆】北田真理子、鈴木沙絢